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今熊野難波金岡資料館

携帯電話資料室

携帯電話「良番」の世界
Since April 1, 2000

2006年5月28日 更新

日本の携帯電話普及のスピードには目を見張るものがあります。2000年度中に携帯電話の契約件数が固定電話の契約件数を上回るのが確実になっているそうです。さて、その携帯電話の電話番号が売買されているのを皆さんはご存じでしょうか。もちろん普通の電話番号が売買されているのではなく、数字の「7」が並んだ電話番号とか、「1」が並んだ電話番号などの覚えやすくてしかも綺麗な電話番号、いわゆる「良番(りょうばん)」と呼ばれる電話番号がその売買の対象となっています。

携帯電話の電話番号は従来の10桁ではなくて11桁になっています。先頭の3桁の数字は「090」で、これは全ての電話番号に共通です。
(追記1.を参照) 従ってその後の8桁の数字が問題になります。現在、最も人気があり、高価格なのが後ろの8桁が全て同じ数字の電話番号です。例えば「090−4444−4444」の様な電話番号で、この様な電話番号ならば、なんと一千万円前後の価格が付いています。最も実際に売買されるのはもう少し安い八百万円前後だそうですが、それでも実際に八百万円程度で売れている訳ですから、驚きです。(追記2.を参照)

固定電話の電話番号は、引っ越しなどで電話局の管轄が変われば、それにあわせて電話番号も変更になりますが、携帯電話の電話番号は日本全国どこへでも持っていくことができますから、一度手に入れた電話番号は生涯使用することができます。例えば大阪に住んでいてドコモ関西の携帯電話を使用していたとします。北海道に転勤になったとしても、ドコモ関西の携帯電話は北海道でなんの問題もなく使用できますから、電話番号を変更する必要がありません。
(追記3.を参照)
固定電話の場合は大阪の固定電話を北海道に持っていくことができませんから、北海道で新たに契約し直す必要があり、当然電話番号が変更になります。また、乗用車の登録ナンバーもその車が廃車になれば登録ナンバーも終了になりますから、せいぜい10年程度しか持てないことになります。
(追記4.を参照) ところが、携帯電話の電話番号は一生涯使用できる訳ですし、家族の者に引き継ぐこともできますから、勢い人気が出ます。

なお、固定電話ならば売買の対象がその管轄内のみに限られてしまいます。プリンスホテルは代表電話番号を下4桁「1111」に統一しています。従って、自分の管轄内にプリンスホテルが新設されることになり、自分が「1111」の電話番号を持っているとすれば、プリンスホテルが高価に買い取ってくれます。話によれば一千万円だそうです。ところがプリンスホテルがなければ誰もそんな価格で買い取ってくれませんから、その下4桁「1111」の良番も普通の番号と同じになりそうです。
ところが、携帯電話の場合は全国がその売買の対象ですから、買い手が見つかりやすく、価格も競争で上昇気味と言えます。実際、商売等に利用するために覚えてもらいやすい携帯電話番号を探している人がかなりいるようです。
(追記5.を参照)

携帯電話番号の現在(2000年4月)の売買相場を次に示します。価格は売り値で、専門業者はこの売り値の2割から3割程度下の価格で買い取っているようです。
  下4桁ゾロ目(たとえば 090−****−3333など)
20万円台  但し、"4"や"9"のゾロ目は嫌われて安く、逆に"7"や"8"のゾロ目は人気があり高くなる。
  下5桁ゾロ目(たとえば 090−***3−3333など)
50万円以上  但し、5桁ゾロ目以上は払い出しが停止されているらしく、正規のルートでは出てこないらしい。
  下6桁ゾロ目(たとえば 090−**33−3333など)
80万円以上  通常、6桁のゾロ目などは絶対に出ない。
  下7桁または8桁ゾロ目
出たとこ勝負  8桁ゾロ目は実際には800万円前後で売買が成立している。
  下4桁以上が"0"のゾロ目
100万円以上  "0"は他の数字と違って特別な数字であり、下4桁が"0"の番号、たとえば090−****−0000 などは一般には払い出されていないとされている。どうしてこのような番号が市中に出回るのかは不思議だが、いずれも100万円以上で取り引きされている。下5桁が"0"ならば200万円以上の価格になるだろう。
  実際の売買事例はこちらをクリックしてください。(追記6.を参照)
但し、これらはすべてNTTドコモ携帯電話番号の価格です。携帯電話の会社は、NTTドコモ以外にIDOやセルラーなどがありますが、NTTドコモが圧倒的な人気で、それ以外の携帯電話会社の番号は極端に価格が下がります。(追記7.を参照)

皆さんは、これらの価格をどう考えますか。下6桁ゾロ目の電話番号の価格が旧10円金貨の価格と同じ程度、下8桁ゾロ目の電話番号は旧20円金貨よりもはるかに高価格です。但し、下8桁ゾロ目の電話番号は数字が"1"から"9"までの9本しかありません。このうち、090−4444−4444はIDOがcdmaOneへのデータ通信用に使用していますから、実際は8本のみです。このことを考えると、旧20円金貨よりもはるかに高価格なのも納得できるのかもしれません。(追記8.を参照)

私の見る限り、この携帯電話番号の良番市場はまだまだ未熟です。価格の相場がかなり不安定で、ちょっとしたことで価格が大きく上下するようです。ただ、日本のコインの価格も大きく上下していますから、どちらも似た者同士なのかもしれません。
この携帯電話番号の良番という新しい市場が今後どのように成長していくのか、非常に興味のあるところですが、私としてはこの市場はますます発展し活況を呈すると考えています。20代前後の若者が多数この市場に興味を示し、それぞれの収入に応じた金額を投じて良番を買い求めています。現代の若者の携帯電話所有率はほぼ100パーセントと言っても良いぐらいです。彼らが年を取っても携帯電話を手放すことはないと思いますから、ますます良番の需要が増すと私は思います。収入が増えて余裕がでれば、より良い良番を追い求める人が必ず出てきますから、この市場は今後も有望だと考えます。
(追記9.を参照)

貨幣収集の世界はまさしく老人の世界です。残念ながら若者がいません。若年者の収集家を育てなければ、貨幣収集の世界は特殊なごく一部の人たちのみの世界になってしまうでしょう。貨幣収集の世界の将来が心配です。

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■追記1.(2006年5月14日)
1999年1月1日午前2時から、携帯電話番号は11桁になりました。例えば、ドコモ中央の10桁の「030−ABC−DEFG」という電話番号は11桁の「090−3ABC−DEFG」という電話番号になりました。PHSも同様で、従来の10桁の「050−ABC−DEFG」は11桁の「070−5ABC−DEFG」に変更されました。加入者の増加に伴い、10桁のままでは電話番号が将来不足することが明らかになったためです。
また、同日・同時刻からNTT固定電話の大阪・兵庫の「06」地域の市内局番が3桁から4桁に変更されました。従来の「06−ABC−DEFG」という電話番号は市内局番が4桁化され、「06−6ABC−DEFG」という電話番号になりました。蛇足ですが、固定電話の市外局番「06」は全て大阪の電話番号であるとは限りません。一部兵庫県の地域が含まれていますのでご注意ください。
なお、2002年3月からは、携帯電話の先頭3桁「090」の電話番号に加えて、「080」の電話番号も使用されています。一番初めに「080」の電話番号を使用したのは、ボーダフォンで、次がエーユー、最後がドコモのようです。(やや不確実?な情報)

■追記2.(2006年5月14日)
いわゆる超稀少電話番号は現在ますます高価格となってます。8桁全て同じの電話番号は2000万円とも3000万円とも言われています。業者が吊り上げた架空の価格なのか、それとも実際に取引されている価格なのか、詳細は判りません。いずれにしろ、一般の良番コレクターにはあまり参考にはならない数字だと考えます。
余談ですが、かなり以前、ヤフーオークションでドコモの8桁全て同じ電話番号が、落札希望価格230万円で出品されていたことがありました。タッチの差で落札し損ないましたが、その時の悔しさは今でも忘れることができません。

■追記3.(2006年5月14日)
携帯電話会社は各社とも各地域に分割されており、通常、お住まいの地域を管轄する携帯電話会社と契約(大阪に住んでいるのであれば、ドコモ関西、エーユー関西、ジェイフォン関西と契約)することになります。携帯電話番号は固定電話番号と同じように各地域にそれぞれ限定された電話番号が割り当てられています。(どの地域にどの電話番号が割り当てられているかは「ダガヤの部屋」のホームページ http://www.dagaya.com/ を参照)
したがって、自分の希望する良番が自分の住んでいる地域以外の管轄の電話番号である場合は、その地域外の管轄の携帯電話会社と契約する必要があります。これを俗称「域外契約」と呼んでいて、以前はなかなか認めてもらえませんでした。特にドコモ中国は厳しく、苦労した思い出があります。現在、この域外契約を拒否する携帯電話会社は皆無と考えてよいと思います。域外契約どころか、この秋からは番号ポータビリティ(ナンバーポータビリティ)が実施されて、携帯電話会社そのものを変更できることになります。
域外契約で不都合な点は唯一、機種変更のときに「○×カメラ」や「○×電器」などの量販店で機種変更ができないことです。しかし、これも番号ポータビリティ(ナンバーポータビリティ)が実施されれば、どのようになるのか判りません。

■追記4.(2006年5月21日)
香港の乗用車の登録ナンバーは、車にではなく、その所有者に与えられますから、車を乗り換えても登録ナンバーは変更されません。香港ではその登録ナンバーの売買ができますから、オークション等では「良番の登録ナンバー」や「初期の登録ナンバー」がびっくりするような価格で取引されているそうです。香港のほんとのお金持ちは半端なお金持ちではありませんから、自家用車の登録ナンバーに日本円で億に近い金額を平気で支払います。

■追記5.(2006年5月21日)
会社等の事業所の代表電話は、ほとんど100%の事業所が固定電話を使用しており、これは今後も変わることがないと思います。携帯電話番号はあくまでもサブの電話番号です。
■追記6.(2006年2月19日)
以前、ヤフーオークションでドコモ中央の下4桁「0000」が100万円で落札されていた時代がありました。当時はその価格でも決して高いとは思いませんでした。現在は下4桁「0000」もそれほど特別視される訳ではなく、「3333」などとほぼ同じ価格で取引されているようです。価格的には10万円台でしょう。逆に8桁ゾロ目は2000万円とも3000万円とも言われています。
携帯電話良番の価格は全体的に手の出し易いところに落ち着いて来ていますが、希少価値の高いものは逆に値上がりしているようです。市場が少しは成熟してきた証拠でしょうか・・・。今年の秋には良番の世界にとって「爆弾」ともなりそうな番号ポータビリティ(ナンバーポータビリティ)が実施されます。この先、良番の世界はどのようになるのでしょうか。興味津々です。
市場価格などの情報は、次の専門業者のホームページでどうぞ。
http://www.ryoban.net/   http://www.ryoban.jp/   http://www.bango.tv/
番号ポータビリティ(ナンバーポータビリティ)の情報は、総務省のホームページでどうぞ。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/joho_tsusin.html

■追記7.(2006年5月21日)
以前は良番の取引はドコモの良番のみで、それ以外の携帯電話会社の良番は価格がつかず、ほとんど取引されていませんでした。関西セルラー(現在はエーユー)の7桁ゾロ目が10万円でも買い手がつかず、5万円に値下げしてようやく売れたというケースを覚えています。現在はドコモ以外の携帯電話会社の良番も活発に取引されています。ただし、価格はドコモと比べてかなり下がるようです。
なお、同じドコモの携帯電話番号でも、その管轄によって人気の差や価格の差があるようです。一番人気があり、高価格なのはドコモ中央の良番です。(余談ですが、ドコモの各会社は関東地域のドコモが「株式会社NTTドコモ」で、それ以外の地域は「株式会社NTTドコモ関西」とか「株式会社NTTドコモ九州」のように地域名が末尾につきます。関東地域のみ、地域名がつかないのですが、それでは判りにくいので、「ドコモ中央」と呼んでいます。)
この秋から実施される番号ポータビリティ(ナンバーポータビリティ)で、これらの価格差がどのようになるのでしょうか。興味津々です。

■追記8.(2006年5月21日)
090番号の下8桁ゾロ目のうち、実際に市場に出回っているのはおそらく半分程度(5本?)だと思われます。他は各キャリアが自ら所有しています。市場には絶対に出て来ないでしょう。
■追記9.(2006年5月28日)
良番の売買実例が多数蓄積されてきましたから、以前のような滅茶苦茶な価格を売り手が提示してくることが少なくなりました。市場が少しは成熟してきた証拠でしょう。
順調に育ってきた市場が、この秋から実施される番号ポータビリティ(ナンバーポータビリティ)でどのように変わるのでしょうか。今はただ静観するのみです。
番号ポータビリティ(ナンバーポータビリティ)という「爆弾」を無事乗り切り、順調にこの世界が成長することを心から望んでいます。


J-Phoneの歴史については

こちらをご覧ください。

携帯電話関連情報サイト 良番・白ロム販売サイト
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総務省の情報通信政策に関するポータルサイト
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/joho_tsusin.html
財団法人 電気通信端末機器審査協会(JATE)
http://www.jate.or.jp/
お世話になった下記サイトは閉鎖になりました。有難うございました。
携帯電話博物館
http://www.mtc.co.jp/museum/
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http://www.mobiletechno.net/
参考情報雑誌のご紹介
携帯電話に関する貴重な、そしてマニアックな情報が満載です。但し、あくまでも参考情報です。掲載されている内容の真偽については、ご自身でご判断ください。
ラジオライフ(月刊誌)(三才ブックス) 定価590円
無線関係の情報雑誌ですが、携帯電話の情報も載っています。かなりマニアックです。但し、技術的な情報が多く、良番に関する情報は期待薄です。
電話マニア2006(三才ブックス) 定価1200円
ラジオライフ編です。こちらもかなりマニアックな情報雑誌ですが、技術的な情報が中心です。

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